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専門医研修

精神科領域専門医研修プログラム

専門研修プログラム名:奈良県立医科大学連携施設 精神科専門医研修プログラム

プログラム担当者氏名:岡田 俊
住所:〒634-8522 奈良県橿原市四条町840番地
電話番号:0744-22-3051
FAX:0744-22-3854
E-mail:psychiatry@naramed-u.ac.jp

専攻医の募集人数:20人

専攻医の募集時期:随時

応募方法:履歴書を下記宛先に送付の上、面接申し込み行う。
宛先:〒634-8522 奈良県橿原市四条町840番地
奈良県立医科大学 精神医学講座
TEL:0744-22-3051(内線3461)
FAX:0744-22-3854
担当者:山内 崇平(医局長)

提出期限:随時

採用判定方法:科長・医局長が履歴書記載内容と面接結果に基づき厳正な審査を行い、採用の適否を判断する。


1. 専門研修プログラムの理念(全プログラム共通項目)
精神科領域専門医制度は、精神医学および精神科医療の進歩に応じて、精神科医の態度・技能・知識を高め、すぐれた精神科専門医を育成し、生涯にわたる相互研鑽を図ることにより精神科医療、精神保健の向上と社会福祉に貢献し、もって国民の信頼にこたえることを理念とする。

2. 使命(全プログラム共通項目)
患者の人権を尊重し、精神・身体・社会・倫理の各面を総合的に考慮して診断・治療する態度を涵養し、近接領域の診療科や医療スタッフと協力して、国民に良質で安全で安心できる精神医療を提供することを使命とする。

3. 専門研修プログラムの特徴
奈良県立医科大学精神科は昭和24年に講座を開設して以来、臨床から研究に至る幅広い領域において精神医学の発展に大きな功績を残してきた。現在もなお、高度な精神医療の実践とともに、多岐にわたる全国規模の研究活動にも参加するなど、医局員は高い水準で幅広い活動を行っている。

基幹病院となる奈良県立医科大学の精神科は設立当初に県立橿原精神病院を吸収合併して附属病院精神科病棟とした経緯があり、高度専門医療を行う大学病院としてだけでなく地域に貢献する県立精神科病院としての機能も果たしている。児童から老年期までを対象とした専門的な精神医療の提供はもちろんのこと、精神科救急(特に3次救急)に対応するため、米国のマサチューセッツ総合病院(ハーバード大学)やサンフランシスコ総合病院(UCSF)、ジョンズ・ホプキンス病院(ジョンズ・ホプキンス大学)などをモデルにして、2006年12月より「精神医療センター」をオープンした。大学病院精神科としては全国でも屈指の104床のベッドを有し、開放病棟(半数以上個室)、閉鎖病棟、隔離室、PICUも十分なスペースを確保しており、さらに高圧酸素室、光療法室を備え、超急性期症例から難治例、児童思春期症例、認知症、身体合併症例までのほとんどのケースに対応できる。専攻医は外来や入院患者の主治医となり、教員の指導を受けながら、看護、心理、作業療法の各領域と多職種連携を組みながら、各種精神疾患に対して必要な検査を行い、難治症例に対するクロザピン療法を含めた薬物療法、精神療法、修正型電気けいれん療法、リハビリテーションなどの治療を柔軟に組み合わせ最善の治療を行っていく。また、総合病院精神科として必須であるリエゾン・コンサルテーションにも力を入れていることから、研修の過程でほとんどの精神疾患、治療についての基礎的な知識を身につけることが可能である。

奈良県下ほぼ全域に渡る精神科医療機関を連携施設として有している他、近畿圏内で専門的な精神科治療を行っている医療機関のいくつかを連携施設として有しているため、専攻医はこれらの施設をローテートしながら研鑽を積み、臨床精神科医に必要とされる技能・知識を獲得し、専門医を獲得することができる。例えば、児童精神医学は奈良県リハビリセンターや東大阪市療育センターと、薬物依存症は三重県こころの医療センターや垂水病院と、司法精神医学は国立病院機構やまと精神医療センターと連携していることから、希望に応じてこれらの施設での研修を行うことにより、幅広い知識を習得することが可能である。

精神疾患は未だに多くの謎に包まれており、病理病態の解明や治療法の開発が急務である。「ベンチからベッドサイドまで」という奈良県立医科大学精神科の基本的な研究理念のもと、疾患を問わず基礎研究から臨床研究まで、アプローチも多岐に渡り研究活動を行っている。なお、海外留学も積極的に推奨しており、今までも数多くの医師が、十分なバックアップの元で海外留学を経験し、一定の成果を上げてきている。さらに、海外留学を終えたこれら大学教員により現在いくつかの国内共同研究、国際共同研究を進めており、その指導の元で、多くの大学院生が精力的に研究活動を行い、多様な角度で精神医療の可能性の拡大に努めている。

II. 専門研修施設群と研修プログラム

プログラム全体の指導医数:97人

【一年間のプログラム施設全体の症例数の例】

昨年一年間のプログラム施設全体の症例数

A. 研修基幹施設 奈良県立医科大学附属病院

  • 施設形態:公的総合病院
  • 院長名:吉川 公彦
  • プログラム統括責任者氏名:岡田 俊
  • 指導責任者氏名:岡田 俊
  • 指導医人数:12人
  • 精神科病床数:104床
  • 疾患別入院数・外来数(年間)

【一年間の症例数の例】

昨年一年間のプログラム施設全体の症例数


施設としての特徴(扱う疾患の特徴等)
当院は992床を有する奈良県医療を支える中核的総合病院であり、精神科も104床という大学病院精神科としては最大規模の病棟を有し、精神科救急入院料(スーパー救急)、精神科救急合併症入院料を算定している大学精神科として有名である。県立精神科病院としての機能を果たすために、県内外よりあらゆる患者を幅広く受け入れる一方で、高度専門医療機関及び総合病院精神科として、地域の精神科病院から難治性症例や児童思春期症例、身体合併症症例等を随時受け入れ、治療にあたっている。また奈良県下における精神科三次救急の役割を果たすべく、24時間体制で緊急措置鑑定の実施、緊急措置入院の受け入れも行っている。また、妊婦、透析、手術などの合併症例の受け入れにも積極的に取り組んでいる。急性期治療はさることながら、リハビリテーション、心理療法にも力を注いでおり、多職種連携を行いながら、退院後の地域生活を見据えた治療を行っており、精神科臨床を幅広く経験できることが特徴である。


B. 研修連携施設

  1. 医療法人鴻池会 秋津鴻池病院
  2. 三重県立こころの医療センター
  3. 天理よろづ相談所病院白川分院
  4. 奈良県総合医療センター
  5. 七山病院
  6. 国立病院機構やまと精神医療センター
  7. 東大阪市立心身障害児通園施設内診療所(東大阪市療育センター)
  8. 上野病院
  9. 万葉クリニック
  10. 吉田病院
  11. 東加古川病院
  12. 浅香山病院
  13. 垂水病院
  14. 奈良県総合リハビリテーションセンター
  15. 飛鳥病院
  16. ハートランドしぎさん
  17. 市立東大阪医療センター
  18. 福岡大学病院

1)年次到達目標
専攻医は精神科領域専門医制度の研修手帳にしたがって専門知識を習得する。研修期間中に以下の領域の知識を広く学ぶ必要がある。1. 患者及び家族との面接、2. 疾患概念の病態の理解、3. 診断と治療計画、4. 補助検査法、5. 薬物・身体療法, 6. 精神療法、7. 心理社会的療法など、8. 精神科救急、9. リエゾン・コンサルテーション精神医学、10. 法と精神医学、11. 災害精神医学、12. 医の倫理、13. 安全管理。各年次毎の到達目標は以下の通りである

到達目標
1年目:基幹病院にて、指導医の指導の下、統合失調症、気分障害、器質性精神障害、パーソナリティ障害、児童・思春期精神障害、神経症性障害などの患者を受け持ち、面接技法、診断と治療計画、薬物療法や精神療法の基本を学ぶ。精神科救急場面を多く経験し、また身体科との連携によりリエゾン精神医学も経験する。面接においては、まず良好な医師患者関係を築けるよう目指す。精神療法では支持的精神療法の習得から始める。症例検討会、外来カンファレンスなどで積極的に質問、討論をして、また院内外の研究会に参加して発表、専門知識の獲得に努める。

2年目:基幹病院または連携病院にて、指導医の指導の下、自立して面接の技法を深め、診断・治療技術を高める。薬物療法を自ら行えるようになり、認知行動療法など専門的な精神療法について学ぶ。精神科救急では自ら初期対応、治療ができるようになる。連携病院にてアルコール薬物依存、司法精神医学などの専門的分野に触れて習得する。地域の連携病院では地域精神医療、精神科リハビリテーションについて学ぶ。院内外の研究会、学会で発表を行う。

3年目:基幹病院または連携病院にて、指導医からはより自立して診断治療を行えるように目指す。認知行動療法などの精神療法について自ら実践する。積極的に国内外の学会で発表を行う。臨床研究や基礎研究に携わる上級医と関わり、より専門的な知識を深めて、精神医学の発展のため将来的に研究に携わる可能性について考える。


2)研修カリキュラムについて
研修カリキュラムは、「専攻医研修マニュアル」、「研修記録簿」を参照。


3)個別項目について
(1)倫理性・社会性
基幹施設において、精神科独自で研修会を開催しているほか、他科専攻医とともに参加できる学内研修会が定期的に実施されている。各学会や医師会等が主催する講習会にも参加を促す。また、指導医や上級医、同僚医師及び多職種連携や、リエゾンコンサルテーションを通じて身体科との連携を保つことでも社会性や倫理観を学び機会を得ることができる。

(2)学問的姿勢
患者の問題を把握し、問題対応型の思考をし、その解答を科学的に導き出し、論理的に正しくまとめる能力を修得すべく、常に研鑽自己学習することが求められる。具体的には回診や中間カンファレンス、退院前カンファレンスで担当症例の問題点等を抽出し、議論できる能力を習得する。その過程で、過去の類似症例を文献的に調査するなどの姿勢を心がける。その中で特に興味ある症例については、地方会等での発表や学術誌などへの投稿を進める。

(3)コアコンピテンシーの習得
研修期間を通じて習得すべき項目は、1. 医の倫理、2. 安全管理、3. 法律の理解と遵守、4. 患者・医師関係とインフォームドコンセント、5. チーム医療、6. 症例プレゼンテーション能力である。医療の持つ社会的側面の重要性を理解し、高い倫理観をもった診療を実施し、患者および医療従事者にとって安全な医療を遂行し、安全管理の方策を身につけ、危機管理に参画できるようになることを第一とする。さらに精神医学的面接法、精神科薬物療法、リエゾンコンサルテーションといった精神科医特有のコンピテンシーの獲得を目指す。

(4)学術活動(学会発表、論文の執筆等)
基幹施設(奈良医大)において臨床研究、基礎研究に従事しその成果を学会や論文として発表する。連携施設においても、症例報告などを中心として学会や論文として発表する。また奈良医大で行われる教室集談会では各連携施設で経験した症例発表や進行中の研究報告などについて発表し、指導を受ける。これらの活動を行う環境及び指導体制は、備わっている。

(5)自己学習
研修期間を通じた臨床経験だけでは十分に経験できない疾患については、関連する著書や論文、及び精神科の成書、学術雑誌を読み学習する。また、各疾患のガイドラインや、eラーニング、講演会などを活用して、各精神疾患をより広く、より深く学習してもらう。基幹施設附属の図書館や、基幹施設内のLAN環境を使用することで、必要とする文献の検索や閲覧、文献をダウンロードできる環境は整っている。


4)ローテーションモデル
典型的には1年目には基幹病院 奈良県立医科大学精神医療センターでローテートして精神科医としての基本的な知識を幅広く身につける。
2~3年目には基幹病院では学びにくい分野を専門とする病院へのローテートをできるだけ行う。アルコール薬物依存を専門とする病院(三重県こころの医療センターまたは垂水病院)、司法精神医学を学べる病院(やまと精神医療センター)、総合病院精神科(奈良県総合医療センター、天理よろづ相談所病院)、などをローテートする。各病院は3カ月~1年の期間でローテートする。さらに単科精神科病院にローテートした場合には、診断治療についてより自立して取り組み、精神保健福祉法や地域の社会資源について学ぶ。上記以外に専門的機関として、児童思春期専門機関(東大阪療育センター、奈良県総合リハビリテーションセンター)、認知症専門機関(秋津鴻池病院)などもローテートに取り入れることが可能である。本人の希望に応じて多彩なローテートパターンが可能である。


5)研修の週間・年間計画
【週間スケジュール】
奈良県立医科大学精神科 週間スケジュール

週間スケジュール

※いずれの施設においても、就業時間が40時間/週を超える場合は専攻医との合意の上で実施される。原則として、40時間/週を超えるスケジュールは自由参加とする。


【年間スケジュール】
奈良県立医科大学精神科 年間スケジュール

年間スケジュール

●プログラム管理委員会

  • 委員長 医師:岡田 俊
  • 医師:牧之段 学
  • 医師:鳥塚 通弘
  • 医師:平井 基陽
  • 医師:森川 将行
  • 医師:上村 秀樹
  • 医師:紙野 晃人
  • 医師:本多 義治
  • 医師:橋本 和典
  • 医師:徳山 明広
  • 医師:相原 加苗
  • 医師:平尾 文雄
  • 医師:南 尚希
  • 医師:峯 未知
  • 医師:森 隆志
  • 医師:須藤 良隆
  • 医師:永野 龍司
  • 医師:松浦 広樹
  • 医師:山内 孝之
  • 医師:木内 邦明
  • 医師:川嵜 弘詔
  • 看護師:高野 勝彦
  • 精神保健福祉士:道崎 真平

●プログラム統括責任者:岡田 俊

●連携施設における委員会組織
各連携病院の指導責任者および実務担当の指導医によって構成される。

1)評価体制

  • 奈良県立医科大学附属病院:岡田 俊
  • やまと精神医療センター:紙野 晃人
  • 奈良県総合医療センター:上村 秀樹
  • 天理よろづ相談所病院:橋本 和典
  • 奈良県リハビリセンター:松浦 広樹
  • 秋津鴻池病院:平井 基陽
  • 万葉クリニック:南 尚希
  • ハートランドしぎさん:徳山 明広
  • 吉田病院:中谷 琢
  • 飛鳥病院:山内 孝之
  • 東大阪市療育センター:相原 加苗
  • 浅香山病院:須藤 良隆
  • 七山病院:本多 義治
  • 東加古川病院:木村 省吾
  • 垂水病院:永野 龍司
  • 三重県こころの医療センター:森川 将行
  • 上野病院:平尾 文雄
  • 市立東大阪医療センター:木内 邦明
  • 福岡大学病院:川嵜 弘詔


2) 評価時期と評価方法
3か月ごとに、カリキュラムに基づいたプログラムの進行状況を専攻医と指導医が確認し、その後の研修方法を定め、プログラム管理委員会に提出する。 研修目標の達成度を、当該研修施設の指導責任者と専攻医がそれぞれ6ヶ月毎に評価し、フィードバックする。 1年後に 1年間のプログラム進行状況並びに研修目標の達成度を指導責任者が確認し、次年度の研修計画を作成する。またその結果を統括責任者に提出する。 その際の専攻医の研修実績および評価には研修記録簿/システムを用いる。


3) 研修時に則るマニュアルについて
「研修記録簿」に研修実績を記載し、指導医による形成的評価、フィードバックを受ける。総括的評価は精神科研修カリキュラムに則り、少なくとも年1回おこなう。奈良県立医科大学精神医療センターにて専攻医の研修履歴(研修施設、期間、担当した専門研修指導医)、研修実績、研修評価を保管する。さらに専攻医による専門研修施設および専門研修プログラムに対する評価も保管する。プログラム運用マニュアルは以下の専攻医研修マニュアルと指導医マニュアルを用いる。

‐専攻医研修マニュアル
‐指導医マニュアル

・専攻医研修実績記録
「研修記録簿」に研修実績を記録し、一定の経験を積むごとに専攻医自身が形成的評価をおこない記録する。少なくとも年に1回は形成的評価により、指定された研修項目を年次ごとの達成目標に従って、各分野の形成的自己評価をおこなうこと。研修を修了しようとする年度末には総括的評価により評価が行われる。

・指導医による指導とフィードバックの記録
専攻医自身が自分の達成度評価をおこない、指導医も形成的評価をおこない記録する。少なくとも年1回は指定された研修項目を年次ごとの達成目標に従って、各分野の形成的評価をおこない評価者は「劣る」、「やや劣る」の評価をつけた項目については必ず改善のためのフィードバックをおこない記録し、翌年度の研修に役立たせる。

1) 専攻医の就業環境の整備(労務管理)
各施設の労務管理基準に準拠する。


2) 専攻医の心身の健康管理
各施設の健康管理基準に準拠する。


3) プログラムの改善・改良
基幹病院の統括責任者と連携施設の指導責任者による委員会にて定期的にプログラム内容について討議し、継続的な改良を実施する。


4) FDの計画・実施
年1回、プログラム管理委員会が主導し各施設における研修状況を評価する。


ローテーションの例

ローテーションの例

1年目は奈良医大精神医療センターで総合的に研修を行う
2年目は奈良医大精神医療センターで学べない領域を中心に学ぶ
3年目は各専攻医のニーズに基づいて様々な病院が選択できる

※医師(専攻医)は当専門研修プログラムへの採用後、研修施設群のいずれかの施設と雇用契約を結ぶことになります。

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